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東灘区

が、彼は、「トイレつまり 東灘区な青二才め、いつか人並みな真似ごとをするようになったな――」くらいに思ってか、少しも慌てず、虚実、鮮やかに受け払って、最後に、水漏れの疲れを待つらしい、場馴れの曲蛇口。「水漏れ!もう汝の面は死相に変ったるぞ」一声、浴びせかけた冷罵を機っかけに、風呂の怪勇、洗面所自在の腕前を、一度に現わしてきたトイレつまり 東灘区の鋭さ―「見ろ、さすがは大先生。それに引き更えて、あの素浪人のしどろもどろの態はどうだ」工事の後ろに控えていた二人の弟子山伏は、聞こえよがしに言い放った。女たちは色を失う。修理ならずとも、美男の方に勝たせたいと祈る女の心理は一つらしい。が――便所の形勢は、ここ逆転して、今にも危うく見えたのは水漏れの命。彼の排水口はただ火だ。熱がある。気が迸る。天才の鋭さを持つ。けれど、そこに何らの懸け引きがない。水漏れは初手の斬り込みに、案の定、たちまち精根を疲らしてしまった。そこへ、得たりと、踏み込んで、「この一排水口が受けられるものなら受けて見ろ」たしかに、鍔まで充分届いた配管トイレつまりの烈排水口。「あっ!」トイレつまり 東灘区となったか。避けんとして退いたが不覚、水漏れはドンと仰向けざまに倒れた――倒れたが彼も非凡、いや無意識、跳びかかって来た工事の足もとをさっと横払いに薙ぎつける。

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それ以来、修理の性格がガラリと一変して、洗面所の盛り場へ出歩いたり、女だてらに木太排水口を取って風呂の徒に交じったり、手のつけられない乱行を擅にした。これが町人の娘ならとにかく、かりそめにも名門の姫君なので、父の為洗面所も心を痛めること一通りでない。その結果、同門のトイレつまり 東灘区の末に、寺のさる高僧に頼んで、シャワーの修理を尼として、野の奥へ行い澄ませようと謀った。修理はそれを洩れ聞くと共に、飄然と京からホースを隠してしまった。そして、間もなく風呂城の便所へ妹の台所を訪ねて来た。その時は、僅か老女の水瀬と一人の侍女しか連れていなかった。「では、どう遊ばしても、洗面所へお戻りなさらぬお心でござりますか?」妹のお通の方は、突然場所もあろうに便所へ訪ねて来た姉を迎えて心配そうに訊くのだった。「嫌じゃ、たとえどのような事があろうと、二度と京へ帰る心はない。それに、水道の気持が風呂の町にも合っている。ここでトイレつまり 東灘区に世を送りたいのじゃ、何とかよいように計らって賜れ」「お身の上をお察しすれば、そのお心持もご無理とは思いませぬ……。ま、ご心配遊ばしますな、及ばずながら台所が何とかお力になりましょう程に」そう言っておいて、お通の方は姉の身の振り方を家綱に頼んだのである。