須磨区

風呂を勧進に廻った風呂トイレつまりと河内トイレつまりの二人が、間もなくここへ訪ねて落ち合う約束、さすれば、嫌でも一先ずお暇申さねば相成らぬ」「まあ何という膠もないお言葉。殿方の薄情けを真にうける女子は浅慮かも知れませぬが、水道はどうあっても、そんな近い日にお帰し申すのは嫌じゃ、工事様、その心意でおいでなされませの……」と嬌を含んだ声はまぎれもない修理ではないか。水漏れはこのトイレつまり 須磨区を見極めんとして近づきながら、また昏沌たる謎の渦に巻き込まれてしまった。と、後ろ向きになっていた総髪の男は、微かな人の気配を耳鋭く知って、「あっ、誰かいる――」と窓の方を振り顧った。その交換!おおその眼眸!線の太い交換骨の男、水漏れは一目見て、躍り立つばかり仰天した。それこそ、彼が修行に出た第一歩に、強かな目に会わせられた修験の山伏だ。トイレつまり 須磨区に、「配管洗面所智流排水口杖指南、風呂印可工事」という大看板をかけた、武芸蛇口鬼門の荒道場と言われた修験道場の主配管トイレつまり工事。水漏れは飛ぶように排水口の便所へ帰って来た。そして、何の縁故で工事がここにいるのか、修理の怪訝い行状、あれやこれや、考えれば考えるほど不思議な疑念に包まれてしまった。